マシーン柳澤の「失言」に対する怒り

引き続きこの件。
「女性は子どもを産む機械」発言が波紋 野党が辞任要求 - 政治

妻に「あれってそんなに失言かねぇ?」と聞いたら「あなたがそう言うとは意外」だそうで。まぁ意外と言われるのはそれほど意外でもないんだけど。もちろん彼女はお怒りでした。

本音?

批判してる人は、だいたい「機械」という喩えが彼の本音だと捉えてるようです。これは僕には判断がつかない。以前からそういう発言をしてた人なのかどうかもちょっと探したけどよくわからないし…。本気で女性は「産む機械」みたいなもんだ、と思ってなくても、その場で思いついた比喩として出てきてもそれほど不自然とは思えないけど、まあ何かこれが彼の本音だとするだけの背景があるのかも知れないです。よくわかりません。が、

もしかしたら普段から全部機械に例えて考えてるのかもしらんね。1人、2人しか産まない女は生産性が低いとか、産まない・産めない女は不良品だとか、30歳過ぎてようやく第一子を産むような女はポンコツだとか。

どちらにせよ、こういう連想が働く人が結構いるということは間違いないみたいで。

「機械」という喩え

どういう文脈であれ、人間を機械に喩えるのが不愉快、という向きもあるようで。

この場合、「機械」という言葉、あるいは「機械に喩えられる人間」にたいして「決められたことしかできない」「単純作業だけしてればよい」「意志がない」「感情がない」「人間性がない」というような、様々なネガティブイメージがついてまわっているということがあるでしょう。だとすると人間を機械に喩えるのはどんな文脈でも避けたほうが賢明でなのかも。

僕なんかがこういう喩えにそれほどムカつかないのは、もしかすると僕がガチガチの唯物論者だからなのかもしれない。あるいは「機械」という言葉にすぐポジティブなイメージを投影してしまうガジェット大好き人間だからかもしれない。わかりませんけど。

世間とか歴史

妻の話を聞くと、どうも柳澤発言は世の保守的な男性達(実際には男性に限らないんでしょうけど)のホンネが象徴されているように聞こえるようなんですね。

今じゃ公然とそういう言い方はされないけど「女は元気な赤ちゃんを産むことだけ考えてりゃいい」とか「子育てこそが本当の女の幸せ」(これは今でもあるか)みたいな発言は、一昔前まで世間に溢れかえっていたわけで。あの発言がそういうのと繋って見える、と。なるほどね。世間にまだまだ女性蔑視が残っているということを、日々肌で感じて生きている女性は少なくないわけで、そういう風に普段から敏感になっている人の中には、「日々感じている嫌な空気が具体的な形で出てきた」と捉える人も結構いるのでしょう。なるほど、柳澤本人だけでなく、世間に対しても怒っているわけだ。あの発言は一つの「焦点」になったということでしょうか。

あと、生殖に介入する権力の様々な過去の実例(大体おぞましいやつ)を否応なく連想させるということもあるようです。

擁護というか…

うーん、僕も擁護してるということになってしまうんですかね?そのつもりは無いんだけど、「それがお前の本音だろう」と言われたら違うって証明するのは難しいだろうなぁ…いや皮肉ではなくて。

少なくとも、あの発言から「柳澤大臣は女性には意志も自由も必要なく、産む機械そのものであり、子どもを産む以外に余計なことは考えなくていいのであり、産まない女性は生きる資格がなく、出産は国家のために行なわれるべきものである、と本心から思っており、それが発言に表れたのであるから、かような女性蔑視剥き出しの人物を大臣にしておくわけにはいかない」というところまでは、僕には読みとれませんでした。ということです。そこまで読みとれれば、そりゃあ僕だって「断固糾弾すべし!」と思うでしょうけど。

ただまあこの件については、ほとんどマスコミのニュースしか見てないので、ひどい見落しをしてるのかもしれませんね…。でも妻と話してみて、怒る人が怒る理由は多少は理解できたかと。なので、本音かどうかに関わりなく「デリカシー無いよね」という見方には同意します。