産経新聞の歪曲報道


すでにあちこちで指摘されていて、繰り返しでもあるし、付け加えることはあまりないのですが。要点だけ短かくしたほうが読みやすい人もいるかな、と。

AP通信は4月26日、東京発で米占領軍が進駐直後、日本の政府や旧軍当局に売春婦の調達や売春施設の開設を命じた一連の日本語書類が発見されたと報じ、その内容として(1)1945年8月末から9月にかけ、米軍の命令を受けて日本政府の内務省などが東京はじめ茨城県などの地方自治体に「慰安婦」集めを指示し、合計7万人以上の女性が売春に従事した(2)米軍当局はそれら女性の一部は強制徴用されたという報告があることを知りながら、慰安所開設を認め、連日連夜、米軍将兵が詰めかけることを許した―と報道した。

「米占領軍が…日本の政府や軍当局に…命じた」ですよ。記事の見出しは「米軍も…命令」です。

言及されている AP の4月26日の記事はこちら。
http://megalodon.jp/?url=http://hosted.ap.org/dynamic/stories/A/AMERICAS_COMFORT_WOMEN%3fSITE%3dAP%26SECTION%3dHOME%26TEMPLATE%3dDEFAULT&date=20070506101117

特に関係するところは、まず、

An Associated Press review of historical documents and records - some never before translated into English - shows American authorities permitted the official brothel system to operate despite internal reports that women were being coerced into prostitution.

AP の歴史的文書・記録―一部はこれまで英語に翻訳されたことがなかった―の再調査によると、アメリカ当局は女性が売春を強制されていたという内部調査にも関わらず、公的な売春システムの運営を許可した

この一文、数多くの他の英語による新聞にもほぼそのままの形で使われています。


それから、

The orders from the Ministry of the Interior came on Aug. 18, 1945, one day before a Japanese delegation flew to the Philippines to negotiate the terms of their country's surrender and occupation.

内務省からの命令は1945年8月18日に下ったが、それは降伏と占領の条件について協議するために日本の代表団がフィリピンに出発する一日前だった。

命令は内務省から、しかも日本の代表団がアメリカ軍に会いに行くです。APの記事にはそう書いてあるし、そうとしか書いてない。ましてや「占領軍が命令」などとはどこにも書いてない


エントリのタイトルは「歪曲」としましたが、ありもしない事を書いたという点で「捏造」と言われても仕方がないんじゃないでしょうか。これは「誤解を与える表現」とか「見解の違い」というレベルをはるかに超えた、明らかな誤報といっていいでしょう。意図的なもの、とまで断定する気はありませんけど。この記者は相当目が曇ってそうですし。


しかしそれにしても2ちゃんあたりで「マイク・ホンダも終りだな」とか言ってるのが、なんとも言えず哀れを誘います。ホンダは調査を要求してるので、アメリカ側の責任をはっきりさせたいんでしょう。もちろん、占領軍が実情を知りながら容認かつ利用していたなら、その責任を免れることはできないでしょう。
しかし、どうも「どっちも悪かったら、どっちも謝らなくていい」みたいな小学生以下の考えの奴が多すぎるんだよなー。