広島平和センターの新理事長は、亥年で核廃絶推進派の人です


また痛いニュースなんだけれども。
痛いニュース(ノ∀`):【広島】 原爆投下は「日本の植民地支配から解放」とのアジアの声が根強い…原爆資料館展示見直しに中韓などの委員を起用へ
これのはてブで「これはひどい」をつけてる人は、とりあえず id:synonymous さんの
はてなブックマーク - synonymousのブックマーク / S.リーパー
にあるリンク先を読んだらいいと思う。確かに中国新聞の記事の書き方は誤解を招きやすいけど(というか真意がわかりづらいけど、たぶん「議論を深め」が重要なんでしょう)、反射的に「中韓」に引き摺られてる人も結構いるんではないでしょうか。それはアメリカ人に対する偏見では?と思うような発言も結構見られるし…ちょっと問題あるんじゃないかと。


かいつまんで言えば、新理事長のスティーブン・リーパーは核廃絶を目指す平和運動家で、もちろん原爆投下を肯定なんかしてません。任命時の記者会見ではこんな発言をしています(強調引用者)。

私はイノシシ年ですから、だいたい一つのことを考えて一生懸命まっすぐ走るということもあるのですが…

あ、違った、こっちこっち。

2008年は大統領選挙です。絶対、この核兵器がひとつの大きな課題となるように、PRキャンペーン、メディアキャンペーンが必要になると思います。それに集中しようと思います。
そして、アメリカが一番問題です。この世の中に核兵器が残っているのは、アメリカのせいです。しかし、二番目の問題は日本だと思っています。日本は非常に大きな経済力をもっており、唯一の被爆国として発言力があるにもかかわらず、その発言力をあまり使っていないと思います。
それで、日本でも大きなうねりをつくって、絶対にアメリカが核兵器を使えないように、日本に動いてほしいと思います。

会見の記録を読むかぎりでは、かなり本腰を入れて活動をしそうですね。全米で原爆展をやろう、という計画も進められているようです。

4月下旬に就任した米国人のリーパー理事長は「米国では広島・長崎の名前を知っていても原爆の正確な被害を理解している人はきわめて少ない。大統領選へ向けて政治への関心が高まっている時期に原爆展を開き、市民が核の実態に関心を深めれば、核廃絶への道が開ける」と話している。


それから Steven Leeper で検索してみたら、2001年の記事がみつかりました。

Leeper, 53, criticized the Japanese and Hiroshima city governments for spending huge sums on decorating the city through massive public works projects. They would gain far more benefits in the long run if they invest in projects to prevent violence, resolve conflicts and solve problems between rivaling parties in the international arena, he argued.

広島市に対する批判です。国際的なリーダシップをとり、世界的な核廃絶平和運動に向けて広島にはもっとできることがあるだろう、もっと戦略のとりかたがあるだろう、と。


また、リーパーと面識をもつ、いろいろなボランティア活動をしているらしい方のブログに、こんなエントリもありました。

一部のマスコミで報道されましたが、原爆を落とした米国を国籍にもつ米国人平和活動家が、平和のシンボルの代表者になるのは異例ではあれ、大きな前進です。今後の日米関係に関わらず、地球的規模での平和運動が、発展する事を期待します。


一方、アメリカ人の理事長就任に疑問を持つ人もいますね。

私の知る限り、翻訳事業会社の役員(実質的には経営者でしょう)をしているということ以外、特に目立った活動はないようです。著名な研究者というわけでも、特に熱心な平和活動家というわけでもありません。

これは、平和文化センターの位置づけを、原爆被害を根幹とする市民の手による平和活動の拠点から、市民の手を離れた、どこにでもあるような世界平和の研究・活動の一組織とすることを意味します。

なるほどそういう見方もあるんですね。全体としては、市長に対する批判という感じのエントリです。しかし、批判といっても少なくとも「原爆投下を肯定するのか」とか、そういう妄想とは違うってことはおわかりいただけるかと思います。


しかしもうなんかこれじゃあ、はてブも2ちゃんみたいじゃないですか…


ちなみに広島とは直接関係ない話ですけど、このスティーブン・リーパーの父親はディーン・リーパーという人で、日本で海難事故で亡くなったそうです。有名な話なんですか?僕は知らなかったんですけれども。

助かった人わずか百六十名ほどで、千人を超える人々が 亡くなりました。事故から二日後にストーンさんの遺体が、それからさらに後に リーパーさんの遺体が発見されました。多くの犠牲者は救命胴衣を着けたまま 亡くなっていたのに、この二人は救命胴衣を身に着けていませんでした。 二人とも自分の救命胴衣を日本人に手渡して死んでいったのです。

う、泣ける…