中国での死刑執行は減りつつあるみたい


ちょっと前に読んだ記事から。

Ni Shouming, a spokesman for the Supreme People's Court, said lower courts across the country were reporting declining numbers of executions, though he did not provide any specifics. He told China Daily, the official English-language newspaper, that the national figures dovetailed with a recent survey of two lower courts in Beijing, which found a 10 percent drop in executions during the first five months of 2007.

死刑執行の正確な数字は公表されていないので、毎年1万人とも言われていた中国での死刑執行が実際にどの程度減ったのか、具体的にはわからないようなのですが。でも最高裁のスポークスマンも(数字には言及しないまでも)かなり減少していると言っているようですし、他からもそういう情報があるようなので、おそらく実際にかなり減っているんでしょう。
記事中のある人権活動家によると、北京オリンピックが決まってからの6年間で40%も減ったという見積りもあるそうです。それでも、2006年には7,500人が処刑されたと見られているようですが。


中国では、今年のはじめからすべての死刑判決が最高裁でレビューを受けることになったそうで、その効果がかなりあるみたいですね。

アムネスティなんかは、去年の記事の中でこの新法に触れて

2007年1月1日付で発効するこの新法で、各省の裁判所で言い渡されるすべての死刑判決は最高裁判所で再度審理され、承認されなければならないことになった。


アムネスティのアジア太平洋部のプルナ・セン部長は次のように述べた。「この新法によって、中国での死刑事件の裁判の質が高まったり、死刑の執行数が減少したりする可能性がある。しかし、中国での死刑制度がより強固なものになる危険性もある。これを防止するには、死刑適用について全国的に十分に可視化したり、死刑相当犯罪の数を減らしたりするなど、他の措置も同時に講じられなければならない」。

とまあ、まだまだ課題が多いことを指摘しているわけですが。


もちろんオリンピックだけじゃなく、公正な裁判を求める内外の圧力というものもこの減少傾向の原因のようです。でも人権状況にかなり問題のある中国が、こうしてオリンピックで注目を集めることで、たとえ体裁を繕うためだったとしても、多少なりとも前進するっていうのは評価したいところです。こないだ紙版の IHT を買ったらオリンピックにからめてダルフール問題で中国を非難する全面広告が載ってたりしてましたが、ああいう問題についても改善が見られるといいのですが…*1


でも、オリンピック開催でこういう副次的な効果というか、人権状況の改善なんかが実現するなら、東京以外にオリンピックが必要な場所は山ほどあるような…などと思ってしまいました。ま、でもそんなこと言ったら何が目的だかわかんなくなりますね。
うむー。とはいえしかし、しばらく前に東京オリンピック招致大使に選ばれた人の中のだれだったかが「日本の若者や子どもたちに、もう一度夢や希望を与えたい」と言ってたのを聞いたときには、「夢や希望にしたって、東京よりもずっと必要としている都市はいくらでもあるんじゃないかなぁ」と思ってしまったのでした。
なんか違う話になってしまった。

*1:ボイコットしよう、という話には全然賛成できないけど