入力を制限する


数週間前からテレビを見る時間を減らしています。正確には、テレビをつけている時間、というべきかもしれません。僕は特に見ていなくてもテレビをつけっぱなしにしているほうだったのですが、最近はニュースのほかは是非見たいという番組を見るとき以外は消すようにしています。テレビのついてる時間は少なくとも 1/4 くらいにはなったんじゃないかな。食事のときも見ないようになりました。


きっかけは少し前に行った旅行なんですけど、そのとき、ちょっと奮発して普段使うような所より高めのホテルに泊まったんですね。場所もまあリゾートというか、海岸の近くで周りには繁華街とかなくて夜はとても静かになる所で。それで、ホテルはとても気持ちのいい部屋だったんですけど、テレビがなかったんですよ。そうすると、夜に食事を終えて部屋にいるとすごく静かなんです。パソコンも持っていかなかったし。携帯はあったけど、携帯ではほとんどネットを使わないヒトなので、実質ネットからも切断されている状態。持っていった本を読むか、妻と会話するか、外を眺めるくらいしかすることがないわけです。


それで、そういう過しかたで何泊かして、すごく心も体も休まったんですよ。


考えてみると、都会で生活しているとどうしてもいろんな情報が入ってきてしまいますよね。ただ街を歩いていているだけでも看板やらポスターやら電光掲示板やらビルについてる大型ディスプレイやらが視野に入ってしまう。電車に乗っても、吊り広告はもちろん、ドアの上には液晶画面があって始終なにか「コンテンツ」が流れているわけです。仕事や趣味に時間を使っているときに様々な情報が入ってくるのはいいんですが、どうでもいい時間にどうでもいい情報が入ってきすぎているんじゃないかと思うんです。神経が休まらない。休憩とかいってテレビ見ちゃうしね。


テレビに関しては、なんというか、テレビを見てるとテレビのタイミングにこっちが合わせてしまいがちになるっていうのが良くないと思いました。つまり、ちょっと数分休憩しようと思ってテレビつけますよね。で、どうやってその休憩時間が終わるかっていうと、テレビの内容で決まったりするわけです。この問題の答えが出るまで、この勝負が決まるまで、このコーナーが終わるまで、この番組が終わるまで…。これは良くないと思うんですよ。自分の「間」は自分でコントロールしたほうがいい。


ネットについては、これはテレビをつけないでおくよりちょっと難しいのですが、やっぱり基本的には「どうでもいい情報を自分に入れない」ようにしたいと思っています。仕事に関係するようなことや、自分の専門分野に関わる情報には触れておく必要がありますけど、どうでもいいネタをフォローするのをなるべくやめようと思うんです。でもこれが案外難しいんですよね…。例えば、はてブのトップページをブラウザのブックマークから外したりしたんですけど、はてブお気に入りはやはり見るわけです。つまり、テレビと違って自分が参加してる度合いが高いために、「もういいや」と突き放すってことがあんまりできないんですよね。

ただまあ、自分と関係ない揉め事とかをフォローするのは可能な限りやめよう、と。実のある議論ならいいけど、単なる揉め事って、どうでもいい話だもの。自分の時間を使うのであれば、そういうのをいちいちフォローしたりあまつさえ参戦したりするよりは、自分の専門の仕事をしっかりやったほうが何倍も社会貢献になるんだし、とか思って。ま、我慢できないこともあるわけですけれど。


いや、ちと脱線しました。そういうことよりも。要点はこうです。


退屈なときには、退屈するべき。


ヒマだなー、といってどうでもいい情報を消費するのはよくない。そんなことばっかりしているから休まらない。どうでもいい情報やストーリーを消費しつづけて、いつも頭がグルグル回ったり、腹を立てたり感情を揺さぶられたりしてるってのは、全く無駄な消耗だと思うのです。


それとテレビを消したりネットから離れたりすることで、副次的な効用というか良かったことは、早寝早起きをするようになったことです。といってもまあ普通のレベルですけど。仕事が遅くなる場合にはそうはいきませんが、そうでない日は早く眠れるようになりました。何しろ退屈ですから。すると必然的に早く目が覚めます。不思議なもので人間、朝っぱらからヒマつぶしをしようとはあんまりしないものです。掃除したり洗濯したりゆっくり朝食をとったり。そうすると、なんだか生活全体が前向きになります。


自分はあまりガムシャラに働くほうではなくって、仕事でも全力を出しきらないタイプなのですが、それでもヒマな時間の使い方を見直さないと疲れが蓄積してきてしまうようになったんですよね。要するに、おっさんになったというか。だから「ストレス発散」に何かするよりも、むしろ何もしない時間をなるべく確保したほうがいい。そのほうが逆に生活は充実する。あのテレビのない部屋は、僕にそう教えてくれたように思います。