天皇は国家元首、九条二項は全面削除だそうで


http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/23923.html
いやー、豪快というか何というか。大胆すぎますね。
新憲法大綱案 新憲法制定促進委員会準備会(pdf)

座長の古屋圭司議員にると、

そこで、今回このような形で、「新憲法かくあるべし」と提案するものである。

なんだそうです。

この文書、冒頭からし

憲法制定気運の盛り上がりは、いまや一大国民運動の様相を呈するに至っている。

と、やる気まんまんですよ。改憲はまだしも、憲法制定気運が盛り上がってるとは知りませんでした。しかも一大国民運動(時代を感じさせる表現ですね)とは。

えー、上から順に、ちょっとばかり。強調は引用者です。

前文は、日本国の歴史や、日本国民が大切に守り伝えてきた伝統的な価値観など、日本国の特性すなわち国柄を明らかにする(…)

なんか前文に歴史だの国柄だの伝統だのを入れたがる人が多いのは何なんですかね?権力をコントロールするのが目的の憲法にそういうのが必要とは僕には思えませんが、どうしても入れたいという人が多いみたいですね。

国民一人ひとりが、公民としての自覚をもって、権利および自由を公共のために役立てること。

こうして国民に説教するのがこの憲法の目的なんでしょうか?

国民の幸福、国家の繁栄、世界の平和などを祈念する祭祀が、天皇の重要な伝統的役割

過去にそうだったのはわかりますが(「世界の平和」は措くとして)…まさかこれからも、とは言わないよね!?それじゃオカルト国家だもんね。

天皇がわが国の「元首」であることは、政府見解においても国際慣例上も明らかである。

ハイきました!

国家元首としての国事行為のほかに、象徴としての伝統的地位にふさわしい行為として、祭祀を含む「象徴としての行為」を公的行為として行うことができるようにする。

わ、やっぱり現代の天皇に祭祀をやらせるつもりなんだ!すげー!まさに神の国

戦力の不保持および交戦権の否認を定めた現行憲法9条2項は、これを全面的に削除する。

書き換えですらなく、全面削除とは。これは大胆ですねぇ。

国民の「国防の責務」を規定する。

すなわち戦争に協力する義務、と。非常時に国の方針に反対すると、きっと罰せられちゃうんでしょう。

権利には義務が、自由には責任が伴うという共同社会の基本原則、および基本的人権の普遍的価値を承認しつつ、わが国の歴史、伝統、文化に基づく固有の権利・義務観念をふまえた人権条項を再構築し、現代の要請に対応する新しい人権を積極的に導入する。

あああああ、僕の大嫌いな言い回しがズバリそのままです…。「新しい人権」はまあいいでしょう。しかし「義務」や「責任」を国のものではなく国民のそれへと読みかえるっていうアプローチは、実に汚ならしいものがありますね。このあたりが、国民を支配するための憲法を作りたい、という欲望が剥き出しになるところではないかと思います。「わが国固有の権利・義務観念」というのもワケがわかりません。以前の自民党草案もそうでしたが、全体に「普遍性」ってものをまるまる投げ捨ててしまいたいのではないか、と思えてきますが。*1

「公共の福祉」という曖昧な概念に代え、人権の制約原理として、「国または公共の安全」、「公の秩序」、「他者の権利および自由の保護」など、より明確な概念を規定する。

こういう人たちにとっては、「国または公共」と書くことに何の違和感もないのでしょう。たぶん「国の安全」と「公共の安全」が対立する可能性なんて夢にも考えてないんでしょうね。

最高裁判所裁判官国民審査制は、裁判官公選制の歴史や風土をもたないわが国では合理的根拠に乏しく、実際にも有効には機能していないので、これを廃止する。

イマイチ機能してなくない?とは僕も思いますが。でも、かわりにどうやって最高裁判所裁判官を国民がチェックするかについては、書かれてませんね。国民は最高裁には口出しするな、ということなんでしょうか。


そして憲法改正については、

国民投票における承認の要件を「有効投票の総数の過半数の賛成」とし、これを憲法に明記する

もちろん最低投票率など知ったことか、ということのようです。


これを作った「超党派保守系議員」には、あの稲田議員あの戸井田議員が名を連ねているようですね。さすがです。

*1:このあたり、いわゆる文化左翼の、相対主義的な立場の人はどう思ってるんだろうなぁ。