日中人権対話の再開を歓迎する
さきの日中首脳会談で、過去の第3回以後中断されていた人権対話が再開することが決まりました。
人権対話再開は、8日にも公表される「日中共同プレス発表」に盛り込まれる。米国も米中人権対話再開で合意しており、北京五輪成功へ首脳訪中に前向きな日米が、協調して人権問題での対中窓口を開くことになる。
中国外務省の劉建超報道局長も7日、日本との「意見交換も必要だと考えている。福田首相本人を含め日本側がチベット問題に関心を持っていることを承知している」と発言。中国はチベット問題を「本質は内政問題」と位置づけながらも、国際社会の対中批判が大きいため、軌道修正を図っている模様だ。
外相会談の時点でもほぼ合意されていたことと思いますが、今回の成果ではあると思います。チベット問題をはじめとする中国の人権問題については、欧州諸国は強硬な姿勢をとるところが多いようですが、日本は地理的にも文化的にも近いですし、できるだけ対話の機会を確保して前向きに説得していくような方向が望ましいと思っています。中国を孤立させたって良いことはないし、外との交流が縮小してはかえって人権状況が悪化しかねないと思いますし。まあ、日本だってそんなに偉そうなことが言えた人権状況ではないかもしれませんが、それはそれとして。
しっかし今回の胡錦濤主席の訪日では、福田首相を非難する声が(特にネットで)多いんですねぇ。「媚中」とか「売国」とか言われてるようですが、僕は今回は上出来の部類と言っていいんじゃないかという気がしてるんですけどね。ガス田問題も進展があったし。歴史問題で批判合戦みたいなことにもならなかったし。従来に比べれば中国側の腰も低かったんじゃないかと。ま、僕もギョーザの件では進展がなくて失望しましたし、チベットその他の人権問題についてはもう少し踏みこんだ発言をしてもよかったんじゃないかとは思いますが。
でもやっぱりこういう場では友好ムードってのは大事だろうと思いますよ。問題の指摘や批判はとても大事だけれども、相手に変化を求めるならどうしても対話による説得も必要ですから。
朝食会で安倍前首相がチベットやウイグルに言及したのは良かったと思いますし、率直に評価したいです。ただ、福田首相がこういう風に言えばよかったとは全然思いませんけどね。福田首相が胡錦濤主席を人権問題などで面とむかって痛烈に批判する、なんてことをしても日中関係がまた悪化するだけだし、ある種の人々にとっては溜飲が下がって痛快かもしれないけど、日本の国益にとっても中国の人権状況改善にとっても何のプラスにもならないでしょう。
あー、あとパンダ。上野に愛着のある僕としては、個人的にはパンダのいない上野はやはり寂しいです。パンダの貸与は実は喜びたいと思ってたりします。でも福田首相が言ったみたいに「手ばなし」では喜べませんよね、やっぱり。多少複雑なものがあります。ま、パンダごときで他の問題を疎かにすべきではないのはもちろんですよ。あとレンタル料ですが、みなさん1億円に目くじらを立てるなら他にもっと目くじらを立てるところが沢山あるんじゃないかと…。いや、それは措くとしても、パンダの生息地域保全や繁殖研究などにレンタル料の使途を限定できるのであれば、貸与を受けいれてもいいんじゃないかなーと思うんですけど。ダメかしら。
わー、なんか読み返してみるとまるで福田首相の支持者みたい。でも、もちろん自民党には金輪際投票するつもりはないんですけどね。