急に辞めちゃった人の政策のうち、是非継続してほしいこと

 さらに公文書管理のあり方について「将来の国民に分かってもらえるようなものを(残したい)。あの時代は、2008年はどうだったとか……。急に総理大臣が辞めちゃったとかね」。脱線気味のあいさつに、委員からは失笑も漏れた。


これこれ。なんか笑い話みたいになってるんですけど、福田政権の政策のうちではわりと期待していたものなんですよ。公文書管理の充実というのは民主主義にとって極めて重要なのはいうまでもありません。ところが我が国の公文書管理ときたら、それはそれは情けないものなのであります。国立公文書館の設立からして、1971年になってようやく、というものです。ヨーロッパでは18、19世紀から、つまり図書館や博物館と同じくらい古くからある制度なのに。アメリカの NARA は1934年設立ということなのでそれほど早くはないですが、その充実ぶりはご存知のとおり。

おまけに国立公文書館に移管される公文書ってのが、全体のわずか0.7%というありさま。

 内閣官房によると、3月末で保存期間が満了した19省庁(出先機関を除く)の公文書約104万件のうち90.8%は廃棄。保存延長は8.5%で、公文書館移管は0.7%の約8000件。他の先進国でも廃棄率は約9割に上るが、公文書館移管率は3−5%という。
 移管が進まない理由について、省庁側は「国会質疑で過去の経緯説明を迅速に求められるため、内部保有が必要」などと回答。ただ、省庁保有なら情報公開法の請求があっても「業務に支障を及ぼす」などとして非公開にもできるが、公文書館に移管されれば歴史資料となり原則公開されるため、「閲覧の制限ができない」「非公開にしていた情報が公開される不安がある」といった回答も少なくなかったという。

こんなだから、重要な記録が都合よく「誤って破棄」とかいうのがまかりとおってしまうような状態が続いているわけですよ。ちょっと古いけど平成15年の内閣府による「公文書館制度の現状と課題」(PDF)とか見ると泣けてくる。特に12ページ目の比較表を見て下さいよ。常勤職員の数なんか40人くらいしかいなくて(平成20年1月時点では常勤職員41人(PDF))、イギリス、フランスの10〜20分の1。アメリカ NARA なんか2,500人もいるわけです。いろいろな背景の違いはあれ、どんだけ日本の国立公文書館がショボショボかは明らかだと思います。こんなんじゃ国民による行政の監視なんかマトモにできっこないと思いません?しかも文書の廃棄は各省庁の規定で決めちゃうってことは、都合の悪いものがちゃんと残ってる保証なんか全然ないわけで。

もうね、片っぱしから召しあげて、廃棄か保存かはアーキビストが決めるっていう制度にしないと。いや実際には全部をアーキビストがチェックするわけにもいかんでしょうけど、原則的な考えかたとして省庁側で都合のいいようにできちゃいけない。一定期間を過ぎたらとにかく移管。古くなっても「現用」で必要だっていうなら写しを作ればいいわけで、とにかく原本は移管したほうがいいと思う。


去年急に辞めちゃった人の変な教育ナントカ会議とかは萎んでもらってよかったけど、この公文書管理の拡充だけは何とか次の政権でも取り組んでほしいと思います。