温室効果ガス25%削減、右派が歓迎してもよさそうなのにな


25%という数字について、評価が分かれてますが。毎日の「社説ウオッチング」で比較されてますが、毎日、朝日の社説が評価する内容だったのに対して、読売や産経は批判的なようです。

これに対し、読売、産経は懸念や懐疑的な視点を示した。厳しい排出基準を課され国内産業界や国民生活の負担が増大する事態を警戒したためだ。「高い削減目標より、現実的な施策で世界の排出削減に貢献する。それが日本がなすべきことだ」と読売は主張した。産経は「景気回復の出はなをくじかれてはたまらない」と懸念、「日本が突出して高い削減率を示すことにどういう意味があるのだろうか」と疑問を投げかけた。


僕自身は、例えば地球環境戦略研究機関でのセミナーのまとめにあるような、

国際社会に低炭素社会づくりの手本を示さねば、環境立国とは言えない。現状の産業構造をそのまま維持するのではなく、長期的な変化を先取りすることが日本の競争力を高める。

低い削減目標を提示すれば世界から見向きもされなくなる。野心的な目標設定をバネとして日本を変革していくことが重要である。

あるいは

明日香氏:目標設定は少なくとも先進国全体で25%〜40%削減の道筋に則るべきとした。
末吉氏:温暖化防止における資金支援政策の重要性を強調すると共に日本はポスト京都交渉でのリーダーシップを示すに十分な数値を設定する必要があり、数値設定と同時に低炭素社会づくりに向かう世界との競争で勝つための国内の削減努力を支援する政策枠組みを作ることが重要と述べた。

といった議論に説得力を感じるので、野心的な目標設定は大いに結構だと思っています。


この件で保守派が批判的なのは、もちろんある種の産業にとって負担となることや国際競争力の面での不安があるのは理解できます。ただまあ、ネットの反応なんかの中には単に民主ぎらいってだけなんじゃないかと思うものも少なくないですが。


しかしなんというか、はてブで定期的に上がってくる「日本SUGEEEE!!」系のコピペに鼓舞される人達は、この件をもっと歓迎してもよさそうなもんだと思うんですけれど。いかがなもんなんでしょうか。25%という数字だって、日経が「科学が先進国に要請する削減幅の下限」というように、また少なからぬ専門家が評価するように、無理筋でもトンデモでも何でもないわけです。環境次官だって「あり得ない数字ではない」と言ってるし。家計にいくらいくらの負担増、みたいな話もいろいろありますが、その手の政府試算は多分に FUD 的要素があるようなので、かなり慎重に見ていく必要があると思いますよ。

日頃「日本人としての誇り」とか言ってるんだったら、「日本SUGEE」みたいな自分が何も貢献してない過去の栄光を反芻してないで、自分達が未来に貢献することを考えればいいのにな、と思う。日本が「世界をリードする」チャンスなんだから。そういうの好きでしょ?中国やアメリカがコミットせざるを得なくなってくる状況とか、嬉しいんじゃないの?中・米が乗ってくるハズがないから無理、みたいな敗北主義はみっともないと思うでしょう?新しい国家的目標が出来るんだから、右派は「日本の底力を見せつけてやろうぜ」ってな気概に溢れても全然おかしくないと思うんだけどな。

それでも支持は無理ですかね?わが国が国際的にイニシアチブをとれるかもしれないのにさ。「民主党ぎらい」をとりあえず置いて、前向きになったほうが絶対いいと思うんだけど。