世間に理解されない、が懲戒事由なのか
僕は、橋下弁護士がテレビ等の報道から受ける印象だけで語っているのではないかという疑いを強く抱いてしまいます。
と書きましたが、これは間違ってたかもしれません。よく考えてみればわざわざ集会に出向いたりもしているわけですし、なぜ新たな主張が出てきたのかという経緯についてはやはりご存知と考えたほうが妥当なような気がしてきました。また、主張の内容そのものについても、
僕だって「一審・二審」の弁護人として就任したらそのような主張もするだろうし、今回のような差し戻し審の弁護人に就任したなら、まずは被告人の更正可能性を徹底的に主張した上で、きちんと被告人や国民に説明する形をとってからこのような荒唐無稽な矛盾だらけの主張を行うでしょう。だから、この緊急集会でも、弁護団の主張内容についての論争は避けました。
と、一定の理解を示しています。この点、おそらく橋下弁護士に共鳴して懲戒請求を送った人からすれば期待はずれでしょうが。
それで、彼が懲戒事由と考えるものの中身をもう一度見てみると、
第一に被害者への、そして第二に裁判制度という制度の享受者である国民への説明を怠っている。
これはつまり、法廷だけでなく被害者や国民に納得いくように説明せよ、といっているわけですよね。
「マスコミ報道がされないため」って、あんたらのアピールの仕方が悪いからじゃねえか。
村上弁護士はメディアが分かってくれないと言っていた。
メディアが分かってくれないんじゃないんだよ!分かるように手前らが説明していないだけなんだよ!!
おそらく集会での議論の中で、弁護団なりにマスコミに対して説明をしてきている事実そのものについては納得されているんでしょう。ということは結局、「プレゼンが下手だ」とか、被害者に対してもっとへりくだった態度を見せれば世間も納得するのにそうしなかった、ということが橋下弁護士の考える「懲戒事由」ということになりそうです。
こうして一応筋の通るように好意的に解釈してみれば、まあ批判としてはアリだと思います。
でも「世間に理解されるようなやり方ができなかった」ってだけじゃあ、懲戒を求めるにはいくらなんでも弱すぎるでしょう。それに「煽ったわけじゃない」なんていう人もいるけど、
そのためにも、心ある国民の皆様に、この弁護団に対して、
もっともっと多くの懲戒請求を出してもらって、
弁護士とは何ぞや、刑事弁護とは何ぞや、ひいては弁護士会とは何ぞやという議論巻き起こして頂きたいと思います。
あきらかに、たくさんの人々が懲戒請求を出してほしい、という意図の元での発言だったといえます。そしてその呼びかけに呼応した人々は、弁護団のプレゼンが下手だとか、常識がないから世間に理解されないだとか、そういうことを理由にしてるんじゃなくて、主張の内容そのものを問題にしてるわけです。橋下弁護士は「説明ができてない」というけど、懲戒請求のテンプレには「理解したくもない」って書いてあるわけです。橋下弁護士だって、自分の考える懲戒事由を国民に対して説明できてないじゃないですか。
裁判員制度を前にして、法廷だけじゃなくてマスコミや世間も納得させるような行動をとるべきだ、という主張*1であれば、賛同するしないは別として一応批判としては成り立つかもしれません。でもね、やっぱり懲戒請求を煽ったのはやりすぎでしょう。これは素直に反省したほうがいいとおもいます。
*1:「チンカス」とか「オナニー」とかには目をつぶって、ものすごく好意的に解釈してますが