日本政府はチベット問題を「どっちもどっち」扱いするな

町村官房長官は15日夜、都内で記者団に対し「現地の日本人の無事は確認できた。(中国政府とチベット側の)双方が自制し、混乱が拡大しないことを望みたい」と語った。


「双方」だってよ!


以下、アムネスティから(強調引用者)。

抗議行動は、先週月曜に約400人の僧侶がデプン寺院からラサの中心部に向かって、政府が強制したキャンペーンを緩和するよう要求する行進を開始したことから始まった。このキャンペーンは、ダライ・ラマへの非難を書くよう僧侶に強制し、政府の政治的プロパガンダに従わせようとするものである。50人以上の僧侶がラサ市内の路上で拘束された。それに続く抗議行動は、その他の僧侶たちが拘束された僧侶を支持して起こしたもので、ラサやその他のチベット全土で一般の人びとが参加し、全面的な騒乱に発展した。隣接する青海、甘粛、四川の各省でチベット人による抗議行動が報告されている。

警察と軍は催涙ガスを群集に向けて発砲し、抗議行動参加者を殴打し、群集を散会させるために実弾を発射したと報道されている。金曜日にはラサでの抗議行動が激化し、一部の抗議行動参加者が警察車両に火を放ち、特に中華系企業を対象に焼き討ちするなど暴徒化した。中国の当局筋によれば10人が死亡し、その大半がラサの実業家であると伝えている。より多くの犠牲者がいるとの未確認情報もある。

外出禁止令が市内全域に出され、全ての店舗が閉鎖されていると伝えられている。市内への立入りは市周辺の検問所で封鎖されており、ラサのいたるところに武装車両や武装警察部隊がいる。報道によれば、本日も市内の一部で散発的な抗議行動が続いているという。

警察及び軍隊がラサ地域にある3つの主要な僧院を包囲し、僧侶を院内を監禁し、外に出ようとする者を殴打している。セラ寺の僧侶たちは、僧院からの軍隊の撤退を求めてハンガーストライキを始めたと伝えられている。


自由な報道がない現状では、これらのことについて確かめるのは困難だけれども、少なくとも中国政府当局の発表など全く信頼に値しない。というか、こういう経路から出てきている情報からすれば、また歴史的背景からすれば、市民の「暴徒化」が事実だとしても、その元凶がどこにあるかはハッキリしているはずです。

 しかし、欧米では今回、死傷者を出した中国政府の対応に批判の声が強まっている。このため日本政府も、「死傷者が増加するなど事態が拡大した場合、人権擁護の立場から何らかの対応を考えざるを得ない」(外務省筋)としている。


なんだよこれ。まるで「欧米がうるさいから一応ポーズとっとかないと」みたいな言い草じゃありませんか。ホント人権問題には鈍感というか関心がなさすぎるというか、わが国の政府には困ったもんです。最低でも第三者による調査機関や外国人ジャーナリストの受け入れくらいは要望してもらいたいもんです。暴力的な弾圧の即時停止、不当に拘禁された人々の釈放、集会や言論の自由の保証などなど、今すぐにでも言わなきゃいけないことはいくらでもあるはず。


やはりアムネスティからだけど、半年ほど前にはこんな話が出ていました。

甘粛省チベット独立のスローガンを書いたとして9月7日から拘禁されている15歳のチベット人の子どもたち4人が、拷問と虐待を受ける危険にさらされている。ほかに、14歳の子どもが拘禁中に重い頭部損傷を受けて病院に入院している。
9月7日、甘粛省甘南チベット族自治州夏河県で、40人の子どもたちが表現の自由を行使したために警察に拘束された。7人を除いて子どもたちは48時間以内に警察から釈放された。7人の子どもたちのうち14歳の2人は、両親が警察に金銭を支払って釈放された。金額は2000元(US$250.00)とされる。ラモ・ツェテン(Lhamo Tseten)という14歳の少年は、同様に警察に金銭を支払って、拘禁中に頭部に受けた重い怪我の治療に行くことが許可された。


今回の事件でも、子供たちが傷つけられていないかとても心配です。日本政府はもっと強い態度で臨まなければなりません。オリンピックの心配なんかしてる場合じゃない*1

*1:僕はボイコットには賛成しかねますがね