あれ?民間機のほうが効率いいのに「自衛隊機で」って話だったの?


輸送機の積載量とかなんてよく知らないからなー。そういう所で何か肝心な論点を見失ってしまう危険はいつもあるんだなぁ。

 中国・四川大地震の被災地に航空自衛隊の輸送機でテントや毛布などの救援物資を運ぶ計画をめぐり29日、日中両政府間で当面は見送るべきだとの意見が強まった。本来の目的である多量の物資輸送には、空自の輸送機より民間の貨物機の方が積載量が大きいという実務上の理由に加え、中国側が今回は受け入れの環境が十分整っていないとの判断に傾いたためだ。政府は民間機での輸送を検討している。
(中略)
 しかし、C130では3回に分けて輸送しなければならないのに対し、民間機は一度に数倍の量を運べるという。また、同型機はイラク復興活動にも派遣されており、運用に余裕がない事情もある。


積載量についてはっきり言及してる記事は他紙ではあんまり無いようなんですが、気にしてないんでしょうか。

派遣が検討されていた自衛隊の C130 輸送機は、最大積載量が20トン、巡航速度は時速550キロメートルだそうです。で、軍用として条件の悪い空港なんかでも使えるようになっているようです。

スマトラ沖大地震での派遣では、性能面から批判の声も

 一方、民間用のジェット旅客機や貨物機は、巡航速度が時速900キロメートル、航続距離が1万キロメートルを超えることも珍しくなく、C130シリーズはかなり劣っている。

 そのため、2004年12月に発生したスマトラ沖大地震インドネシアなどへの輸送任務を実施した際には、「特殊な装備の輸送や条件の悪い地域への飛行でない場合、民間用を使った方が合理的」との批判も出た。

なんか積載量とかも、たとえば日本貨物航空が使ってるこれだと120トン。自衛隊機の20トンとは文字どおりケタが違うんですね。


運ぶ物資であるテントや毛布が自衛隊の備蓄しているものであるとはいえ、よほど特殊な場所へ降りるとかでない限り、輸送は自衛隊機よりも民間機のほうが効率いいみたいなんですが。てことはあれか、やっぱり「効率が最大でなくても、できれば自衛隊を出したい」という政治目的の話だったのか。
いやまあ、チャーターにかかる手間や時間とか、備蓄されてる場所から移動する手間や時間とか、他の要因も含めて評価する必要はあるんでしょうが、その辺の話はあまり出てないので、民間機を使わない理由があるのかってのがよくわからないのは確かです。


こういうのはホントよく警戒してないといけないなー。「なんでもいいからさっさと派遣しろ」と思った自分を
生政治/ホモ・サケル/人道的介入 - 過ぎ去ろうとしない過去
を読んで反省しました。「生政治の罠」かー。もちろんそれは、自衛隊機が民間機より効率良かったらいいのか、という話ではないので、ちょっと考えておく必要があると思いました。