異議申し立ては普遍的な権利
ウルムチでの騒乱、これ以上犠牲者が増えないことを、また対立が少しでも和らぐことを祈るばかりですが。
中国の国営新華社通信が7日、警察当局の話として伝えたところによると、中国・新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで5日に発生した騒乱の死者はさらに16人増えて156人に達し、負傷者は1080人に上った。同通信は死者は男性が129人、女性が27人としているが、漢族やウイグル族など民族の内訳は明らかにしていない。また、地元警察当局が騒乱に関与した疑いで1434人を拘束したと伝えた。
犠牲者の内訳がわからず、騒乱の経緯もあまり明かになっていないため、最初の異議申し立てのデモがどのように暴動に発展したのかわかりません。ですが、報じられているように、今回の事態の原因を作ったのは広東省での事件とそれに対する中国当局の対応のようですね。
抗議行動は、2人が死亡した広東省韶関市の工場での暴力沙汰に対し政府が何ら行動を起こさなかったことに抗議して、平和的なデモから始まったと伝えられている。6月26日、新疆ウイグル自治区内で募集されて来たウイグル人がいる工場において、ウイグル人労働者数百人と漢民族の労働者数千人が衝突した。警察は、同工場を解雇された男を拘束したと伝えられている。この男が流したうわさにより、激しい衝突が引き起こされたという。広東省におけるこの暴力事件に対する政府の対応は、ウェブサイトやインターネットコミュニティ上の事件に関する情報を遮断することであり、衝突事件に関連する投稿を削除するよう指示するというものだった。
もちろんこれは直接のきっかけにすぎず、その背景には長い間抑圧され続けてきた人々の怒りがあるのは言うまでもありません。この種の事件が常にそうであるように。ヤンゴンで、ラサで、ナイロビで、アマゾンのバグアで、テヘランで、西成で、この数年の間にも、異議申し立てをする市民が当局と衝突する場面を私達は何度も何度も見ています。市民が理性を保って冷静な行動が行なわれるケースもあれば、抑えきれず暴力が爆発するケースもあります。扇動があったと思われるケースもあれば、当局がそのように主張するケースもあります。けれども常に確認しなければならないのは、異議申し立ては普遍的な権利であり、市民は、どこの市民であれ、集会し、主張をする権利があるということです。
ウイグルの人々の「暴動」を強調する当局の報道に対し、漢族の人々が偏見と敵意を深めてしまう様子は、おなじみのものです。日本で暴動の時に西成の人々に向けられた言葉のなかに、ごく似通ったものを見つけるのはそう難しくはないでしょう。だから改めて、当局が実力で異議申し立てを潰すような行いを批判しつづけると同時に、市民の間にあるそのような偏見や敵意を緩和するためにできることを探す、それもまた普遍的な課題だと思うのでした。