10年前のペルーの人質事件と、人権団体の反応
ぼやきくっくり | 「アンカー」ペルー日本大使公邸人質事件の真実
このエントリが注目されてからちょっと経ちましたけど、
Japanese embassy hostage crisis - Wikipedia, the free encyclopedia
と合わせて読んでみました。人身売買された少年がゲリラの中にいたって話はずいぶん前に聞いた覚えがありますが、虐殺疑惑のことは知りませんでした。ので、そのあたりが興味深かったです。
で、ちょっといくつか。
事件そのものは1997年なわけですが、小倉英敬氏は2000年の時点で MRTA のメンバーの3人が生け捕りにされたところを見たと言っていたようですね。別に10年間沈黙してたわけじゃなくて。ちょっと誤解してしまいました。
2001年にはペルーの人権団体である APRODEH が3人の処刑について抗議してますね。で、法医学的な調査の結果、メンバーのうち8人が無抵抗な状態で撃たれていたことがわかったと。
2002年にはこの関係で逮捕状が出されたり、かと思うと容疑者(突入した人達ね)に対する恩赦が議論されたりとあわただしかったようです。この恩赦をめぐって、Human Rights Watch が抗議声明を出してます。
人質の救出成功は特殊部隊を国民的英雄にしたが、不法な殺害の証拠は動かしがたい…(中略)…国が感謝する気持は彼等を正義から庇う理由にはならない。
あと若干気になったのは、銃撃戦後にらせん階段に置かれた遺体の横を通るフジモリ大統領の映像です。ググってみるとモザイクのかかってない画像もあったんですが、画質が悪いせいもあって青山記者が言うような「のど仏の上で十字に引き裂かれ」とか「上半身裸にして裏返し、首を切断されて」とかいうのは、ちょっとわかりません。頭部が無いようにも見えるけど、布がかかってるようにも見える。テレビで流れてたときには、もっとハッキリ見えたんでしょうかね。僕が見たものもテレビ映像からのキャプチャっぽく見えるんですが、全然わかんないや。
まぁそれはいいんですが、それよかですね、首が切断されてたり、のど仏が十字に切られて開かれてたりという映像が実際当時流れてたのなら、人権団体の反応が悪すぎるんじゃないかという気がします。少なくとも首の切断とか四肢の切断なんてのはそうそう銃撃戦では起きないことですから、Human Rights Watch なり現地の APRODEH なりが即座に反応しててもよさそうなもんだと思うんですけど。法医学的調査ってのも2001年になってから行なわれてるし、Human Rights Watch の恩赦に対する抗議も、その調査に基づいていて、しかし首を切断したとか何とかには全然触れてないですね。
しかし最近の法医学的調査は、ゲリラのうち8名が明らかに捕えられてから、または負傷のため無防備な状態で、頭部を撃たれたことを立証した。
とあるだけで。もしかして、もっとずっと後になってわかったんでしょうか?でも調査しといて「切断」がわからないなんてことは無いでしょうしねえ。何か事情があるんでしょうか…?Wikipedia のほうも何も触れてないしな。うーむわからん。誰か教えてくれないかしら。
あとちょっと話が違うんですが、ついでに見つけたこんなレポートが、なかなか面白かったですよ。
朝日・毎日・読売にみる、ペルー人質事件報道の検証